RELATIONSHIPS
同じ銘柄の、二つの年。
完成品の品種比率を比較
2021
カベルネ・ソーヴィニヨン87%、メルロー8%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド2%。
2022
カベルネ・ソーヴィニヨン92%、メルロー6%、カベルネ・フラン2%。
本文で説明した関係の要約です。品種構成や生産条件の詳細は、本文と公式資料で確認できます。 出典・参考資料
FIELD NOTE 01
呼称、シャトー、グラン・ヴァン
Margaux AOPは区域と生産条件を定める呼称。Château Margauxは生産者名であり、そのグラン・ヴァンの名前でもある。ラベルのMargauxという文字だけで、呼称内の別のシャトーまで同じ造りと考えることはできない。
比較する二本はシャトー・マルゴーのグラン・ヴァン2021年と2022年。生産者と銘柄をそろえ、収穫年が変わったときの判断を追う。
この節の根拠:INAO|AOPとAOC ↗ / シャトー・マルゴー|畑の区画 ↗
FIELD NOTE 02
2021年の87%、2022年の92%
公式資料の最終ブレンドは、2021年がカベルネ・ソーヴィニヨン87%、メルロー8%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド2%。2022年は順に92%、6%、2%で、プティ・ヴェルドは含まれていない。
カベルネ・ソーヴィニヨンは5ポイント増えている。この数字の分母は完成したグラン・ヴァンのブレンドであり、所有する畑の面積ではない。年ごとの収量、各区画の出来、どのワインに採用するかによって、同じ畑からでも比率は変わる。
FIELD NOTE 03
天候に対する収穫と抽出の判断
2021年は収穫前の雨を受け、熟度を待つか、病害のリスクを避けるかが課題になった。生産者は待つ判断を記している。2022年は暑さと乾燥が強く、赤の収穫は9月8〜27日。小さな果粒を得た年でも、抽出を強めればよいとはしていない。
生産者は両年とも抽出への配慮を説明している。冷涼・温暖という年の印象だけで、タンニンの量や質を決めつけない。果実の条件に対して、造り手がどう応じたかまで読む。
FIELD NOTE 04
比率から推測できる範囲
グラン・ヴァンに採用した割合も2021年は収穫の36%、2022年は40%と公表されている。これは品種比率とは別の数字で、選別の結果を表す。
「カベルネが多いから、2022年の方が必ず渋い」とは結論できない。果実の成熟、抽出、熟成が同時に変わるためだ。試飲ではタンニンの強さときめ、酸、果実の熟した印象を別々に記録し、公式の天候・醸造記録と照らす。
FIELD NOTE 05
抽出可能な量と、実際に抽出する量
ブドウに含まれる成分がすべて完成したワインに移るわけではない。AWRIの技術資料は、原料から抽出可能なタンニン量を把握し、果皮との接触期間などを調整する考え方を示す。原料に多くあれば、短い接触でも必要な量を得られる場合がある。
この仕組みを踏まえると、マルゴーが2022年に小さな果粒と抽出への配慮を併記する意味がわかる。ただし同シャトーがAWRIの測定法を用いたという資料ではない。原料と操作を分けて考えるための一般的な醸造知識として参照する。
CASE STUDY / 実例から考える
銘柄をそろえて、数字の分母を確かめる。
品種比率と採用率は、別の数字です。見る項目を切り替え、図の下の問いを考えてください。
完成品の品種比率
Château Margaux 2021
- カベルネ・ソーヴィニヨン87%
- メルロー8%
- カベルネ・フラン3%
- プティ・ヴェルド2%
- 対象
- グラン・ヴァンのブレンド
Château Margaux 2022
- カベルネ・ソーヴィニヨン92%
- メルロー6%
- カベルネ・フラン2%
- プティ・ヴェルド0%
- 対象
- グラン・ヴァンのブレンド
カベルネが5ポイント増えた。畑でも同じ割合で植え替えた?
考え方を確認する
このグラフは完成品の構成です。植栽面積の変化は示していません。品種ごとの収量と、グラン・ヴァンにどのワインを選んだかが比率に関わります。
収穫からの採用率
2021年
- グラン・ヴァンへの採用
- 収穫の36%
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- 完成品の87%
2022年
- グラン・ヴァンへの採用
- 収穫の40%
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- 完成品の92%
36%と87%を足して、123%になる?
考え方を確認する
足せません。36%は収穫からグラン・ヴァンに採用した割合、87%はその完成品の品種構成。分母が異なる数値です。採用率の高さだけで、その年の品質順位も決まりません。
どちらの証拠にもならない。最終ブレンドの比率は植栽面積と異なり、渋みには果実の成熟や抽出も関わる。まず分母を確認し、収穫・選別・醸造の記録を読む。
PAUSE & REFLECT
理解を確かめる
2022年のカベルネ比率が5ポイント高い。畑の植え替えや、より強い渋みの証拠になる?
解説を読む +
どちらの証拠にもならない。最終ブレンドの比率は植栽面積と異なり、渋みには果実の成熟や抽出も関わる。まず分母を確認し、収穫・選別・醸造の記録を読む。
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出典・参考資料
本文の参照資料です。生産規定の詳細は現行文書で、個別ワインの仕様は該当する収穫年の資料で確認できます。
- シャトー・マルゴー|畑の区画 ↗
- シャトー・マルゴー|グラン・ヴァン2021 ↗
- シャトー・マルゴー|グラン・ヴァン2022 ↗
- INAO|AOPとAOC ↗
- AWRI|抽出可能なタンニンの測定と醸造判断 ↗